令和元年度松本市教育会長  横山 耕二 (安曇小中学校長)

 私たちの松本市教育会が生まれるきっかけは百三十年以上前に遡ります。明治十七年、東筑摩郡(現松塩筑)内の百二十名余りの教員が明日の授業改善のため、自主的に研究をはじめたことからスタートしました。多くの教員が教育会に集い、職能向上を目指し、専門性を磨きました。その流れの中で、明治二十三年には成績順に学級編成が行われ、最も成績が低い学級を最も優秀な教員が担当する特別支援教育の先駆けとなる実践が行われました。また、貧しさで就学できない児童のために、「子守学校」といった特別な学級が作られ、どの子にも等しく教育の機会を保障しようとする「学都松本」の源流が生まれました。この高い志は当時の先人達がその時代の課題に真正面から向き合い、仲間と学び合う中から生まれたのだと思います。 

 

令和の時代は、私たち教員にとって、より学ぶことが求められる時代だと感じています。子どもの貧困が問題となり、親の収入の大きさが、子どもの将来の可能性に影響するとまことしやかに語られています。また、様々な出来事の背景に自己肯定感の低さの影響を感じます。今、明治時代とは違う次元で、どの子にも等しく光をあてることが求められていると思います。明日の授業のアイデアはネットを検索すると出てきます。しかし、私たち教員が何を大切にし、何をゴールとするのか、答えは載っていません。人と人が集い、実践から学ぶことや、先輩のお話を聞いたり、理想を語り合ったりすることを通して見えてくるものだと思います。ぜひ、松本の子どもたちの未来のために、教育会に集い学びましょう。

 

昨年度の定期総集会は夏休みの平日に開催しました。その成果として、参加者が一昨年の一・五倍ほどに増えました。今年度も夏休みの平日開催です。会員発表では、同好会への参加者数が伸び悩んでいる現状や教育会の活動が見えにくいという反省を受け、社会科教育研究会の簾田典彦先生(鎌田中)と横山享司先生(安曇小)に「社会科授業のさしすせそ ~社会科同好会の挑戦~」という内容で発表していただきます。また、技術・家庭科教育研究会として関東ブロック大会で発表され、好評であった「地域素材をいかした健康梓川丼」の実践を長保美也先生(梓川中)に発表していただきます。

 

 一方、講演では、冬季オリンピック、ノルディック複合競技の金メダリストで現在、選手の育成に携わっている荻原健司さんに「人を育てる」と題してお話をしていただきます。子どものやる気に火をつけることのすばらしさや秘訣を荻原さんの具体のお話から学びたいと思います。

この総集会が充実した貴重な研修の場となるように、仲間を誘い合ってご参加ください。